ちかくにまなぶ

近くから学んだことを書き残すブログです。

【書評】『やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~』

はじめに

最近読んだ本がめんどくさがりの自分にピッタリだったのでご紹介をば。 

やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~

やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~

 

僕は根性論が嫌いだ。もう嫌い。大っ嫌い。

よく聞く「ポジティブに行動する。」・「とにかく行動する。」
に対して「何故?」「何を?」「どのように?」…といちいち考える割と理屈屋さんで、扱うには面倒くさいタイプなのだ。
というか自分で自分を扱うのも面倒くさい。
兎にも角にもやってのけさせるのが大変なのである。
そんな私みたいな七面倒くさいタイプを理論でやってのけさせるには? ということで学びをまとめてみた。

ちかくにまなんだこと

①「証明型」と「習得型」の目標がある
②目的達成への焦点の当て方には「獲得型」と「防御型」がある
③「関係性」・「有能感」・「自律性」の3つの欲求
自分をコントロールする上でこの3パターンの組み合わせが重要とのこと。
まず、上記心理学に基づく3点を自分の解釈で簡単にまとめる。

①「証明型」と「習得型」の目標がある

目標には能力を示すためによい成果をあげることを重視する証明型(be good)と成長や進歩、技能の習得を重視する習得型(get better)の目標の2種類がある。

簡単な仕事は[証明型]の思考でこなすことで、速度感を持って進めることができる。
例えば、「メールの返信は1時間以内に行う」等の目標がこれに該当する。
個人的に普段から証明型の目標を念頭においている人ほど、困難に直面すると、いい意味ですぐあきらめる気がする。自領域以外では人に頼る術を持っているのだ。

[習得型]の目標を持っている人は過程を楽しむ。終わった後の成長も少し楽しみだったりする。ただ、この手の目標を持つ人材は抱えすぎてパンクするリスクも持ち合わせている。その上でそのリスクすら楽しんでしまうのが習得型の人間だと思う。

どちらが良いということはではなく、いまの目標が自分にとってどちらかを整理した上で進めるのが吉ではないかなと。ただ証明型の目標ばかりこなしていても、自分の枠からは出られないかなと思う。
自分の場合、証明型の目標は地固め、習得型の目標はチャレンジとして置いて走ることが多い。楽しいのは後者。血だらけになるけど血だらけにならないと次にでてくる[防御]も覚えられないと思う。

 

②目標への焦点の当て方には「獲得型」と「防御型」がある

簡単に言うと、物事を楽観視して進めることを[獲得型]・物事を悲観視して進めることを[防御型]と本著では指している。目標達成にあたり"得られること"を重視する人と、実施にあたって生じる"損失を考える"人がいるってのは組織ではよくあることだと思う。

獲得型の人は機会を逃すことを嫌い、リスク承知でできるだけ行動をとる。防御型の人はミスを犯すことを恐れ、確実な成功が期待できないと行動を起こさない。

なんとも防御型に良い印象を起こさない記載の仕方になっているような気がするが、これは結局経験量に基づく勘所の良さに紐づくと思う。経験量が多い人ほど手堅く重厚に物事を進めたがる。ただ、その手堅さ故に、速度が求められる業界ではある種時代遅れとなっている…と言うのは一介のビジネス現場のベテランと若手間でおきているあるあるではないだろうか。時代の流れには逆らえない。重要なのは経験を無下にせず防御したい対象がなんなのは言語化し、目標達成に向かう(向かわせる)ことではないかと思う。

 

③「関係性」・「有能感」・「自律性」の3つの欲求

目標を達成するにあたって、人間の基本的な欲求を満たす必要がある。代表的な欲求として挙げられているのが[関係性]・[有能感]・[自律性]の3つ。[関係性]は人間関係、[有能感]は技能向上、[自律性]は情熱や価値観とそれぞれ言い換えることができる。

ここで深く述べるべきは自律性だ。自分の経験を踏まえても、本著に記載がある「興味がある」・「楽しそう」・「自分の特性や価値観に合っている」という感覚を持っているときは自発的に行動ができていると思う。
その行動に対する結果がたとえうまくいかなかったとしても、自ずと他二つの欲求も満たせていることが多い。

心理学の観点で述べられている[内面化]が起きているのだろう。内面化とは外的な規範や欲求を自分ごと化して価値を感じることを指す。人に何か指示をする際には、「内面化させるにはどうすればいいか?」を考えて行動を促す必要がある。そうすると自ずと「何故」と「選択」を用いたコミュニケーションになるのではないだろうか。

①〜③の活用

第6章に詳しく記載があるのでここでは一部簡単にまとめる。

A:簡単なことをするとき⇒証明型×獲得型
B:スピードが必要なとき⇒獲得型
C:正確さが求められるとき⇒防御型
D:創造性が求められるとき⇒獲得型×自律性
E:過程を楽しみたいとき⇒習得型×自律性

普段自分の体が動かない時、それぞれの目標設定や紐付ける欲求の方向性が誤っていることが多いように思える。
例えばBで、上司に「この指示をすぐやってくれ」と言われたとする。それに対し「これをすぐやる意義は?」と考えてしまうのは方向性を誤っている。「この指示をすぐやることでこの人の信頼を得ることができる」と関係性と自律性を紐付けて指示を全うすると行動から達成までがスムーズになる。
自分の場合、この誤った思考パターンに陥っていることが多いので、短期的な目標設定や実務を行うことが苦手だ。それがわかっただけで思考の癖を正す意思が生まれる。志向のパターンが顕在化がする本は儲けものだと思える。

さいごに

今回の1番の気付きは「why」を考えることが短期的にみるとマイナスに働くこともあるということだ。いつかサイモン・シネックの『ゴールデン・サークル』についても書くかもしれないのでここでは控えるが、個人を動かす上での目標設定とその焦点、欲求について頭のなかで整理をつけて行動を起こしていきたい。
今年読んだ中でおすすめの部類に入る本なので是非興味ある方は読んでいただきたい。Kindle版が出ていないかつハードカバーなので抵抗感がある方もいると思うが…オススメである。

僕のちかくからは以上になります。

やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~

やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~