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ちかくにまなぶ

近くから学んだことを書き残すブログです。

アイデアの着想点

イデアの着想点に思いを巡らす

大学時代は映画のカットを何度も何度も観てその表現技法についてまとめたり、ひたすらホラー映画観させられたり、当時走りだったコミュニケーションデザインについて事例研究したり、と今思うと勉強らしい勉強を全くしてなかったなあと思う。特に興味を持ったのはTVCMとコピーライティングで、その表現技法はかなり研究した。昔とった杵柄というほどのものでもないが、いま蕎麦屋で流れていたCMが知っているパターンだったのでそのメモをば。 

シンドラーのリスト』は好きな映画の一つだが、1カット鮮烈に心に残っているカットがある。内容については割愛するが、ナチスドイツの占領下のポーランドクラクフを舞台に実業家であるシンドラーの心境の変化をモノクロで描く、儚くも美しい作品だ。
前述のとおり本作はモノクロなのだが、1カットだけ白黒のキャンバスに赤が混ざる。

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このモノクロと赤のコントラストが美しく、ひときわ目を引く。少女の可憐さ、儚さ、小ささが混沌とする背景から浮かび上がりより一層に鮮明に映る。カラー映画普及後のモノクロ作品にもコントラストを用いたカットは他作品でも見つかる。例えば『アーティスト』はサイレントモノクロームで描かれているが、1シーンだけ「声」が表現されている。サイレントからトーキーへの変遷を暗喩するコントラストが実に見事に表現されている。(これも好きな作品だなあ…)

この『シンドラーのリスト』の技法が使われているCMがある。ご存知ザ・プレミアム・モルツだ。

ザ・プレミアム・モルツ「夏09」篇

モノクロとのコントラストでビールが輝いて見える。商品の本質に回帰したすばらしいCMだと思う。ビールって黄金色で美しい飲み物なのだ。子供のころ父が飲むビールがやたらと輝いていた。憧れていたあの黄金色がビールの魅力だったのだ。

このCM以降、この技法を利用したCMが増えたように思える。
ちなみに先ほど観たCMは以下。


CHARMY Magica「マジカ モノクローム」篇/30秒/ライオン

これは正直技法の使い方が間違ってる気がする。まず色数が多い。視点がぼやけるため価値として置いている「汚れが以前より落ちること」に焦点が定まらない。また、背景が単色のため役所広司さんの顔ばかりが目立つ。(嫌に濃い)
ある種いい例なのだが、こういう後続ででてくるCMは手法にとらわれて本質を見失ってることが多い。アイデアの着想点がどこなのか考え、何故この手法を取るべきかが明確じゃないまま「なんとなくああいうの作りたい」で進行したのだろう。

建築業界にパターン・ランゲージという言葉がある。特定の状況で繰り返し現れる問題とその解決方法等を集めることで、暗黙知を表現・共有・活用する。問題の識別や視点の多角化に効果があるとされている。パターン・ランゲージの優れている点は、過程を明確にすることで成果物までたどり着く思考法を身につけることができる点だ。Magicaの例が失敗だと言いたいわけでは決してないが、成果物や小手先の手法論のみに目を向けるのではなく、背景やアイデアの着想点まで思いを巡らせることが重要ではないかなと思う。

僕のちかくからは以上になります。  

プロジェクト・デザイン・パターン 企画・プロデュース・新規事業に携わる人のための企画のコツ32

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